美しいチェンバロ

ゴールデンウィークは金沢に行ってきました。お目当ては金沢市内にある
21世紀美術館http://www.kanazawa21.jp/ja/index.html]」です。ここは現代美術がメインで、建物もおもしろく、立地場所も市内のど真ん中、兼六園の隣なので、とても便利でした。ゴールデンウィーク期間中は「ゲント現代美術館コレクション」を開催していたのですが、催しのひとつに「チェンバロリサイタル」があったので、早速申し込みました!時間は19:00〜だったのですが、開園前にベルギービールとワッフル(ゲントにちなんで)の配給があり、おとなしく外の待合室で待つこと10分、開演です。ホールは300人ぐらい?が入れるシアター状になっていて、全体が黒でした。多分演劇とかに使われることが多いのかな?舞台(といってもフラット)には、赤(内側)と黒(外側)に装飾された色鮮やかなチェンバロが1台鎮座しておられました。曲はほとんどがバロック時代のもので、フランスやベルギーの作家とバッハ、の他に武満徹(タイトルは「夢見る雨」オーストラリアのアボリジニが書いた同名の絵にインスピレーションを受け、チェンバロ用に一曲だけ作曲されたそうです。曲はバロックとはうって変わって難解な現代音楽・・・(^_^;))の作品も演奏されました。このリサイタルでは、演奏の方と、調律師の方が2人で出てこられて、曲のあいまにチェンバロという楽器や、曲についていろいろと解説をしていく形式だったので、飽きずに最後まで楽しく聞くことができました(特にバロックの曲は続けて聴いていると、ドラゴンクエストでお城に入るような錯覚におちいります・・)ここで聞いた話をかいつまんで説明すると・・

  • チェンバロはピアノの前身の楽器で、弦を叩くのではなく、引っかいて(摘んで)演奏する、ギターやハープの仲間である
  • モーツアルトの子供の頃に今のピアノがだいたいできたので、それ以前の作品は(古典)チェンバロで演奏されていた
  • 貴族の部屋に飾られていたので、装飾が大変きれい。当時は中国柄が流行っていたそうで、外側は東洋チックな模様で、内側に西洋模様と結構ゴテゴテ気味。
  • 最近、バロック時代の曲はやはり当時の楽器で弾くのが良いのでは?ということで、チェンバロがまた復元されはじめているそう。ちなみに弦をはじく爪?みたいなのは、大き目の鳥の羽を使用するらしく、チェンバロ職人さんの間では「やっぱフランス南部の鳥が一番」とかいう薀蓄があるらしい・・・(^_^;)
  • 当時の貴族の館では、蝋燭の明かりの下で演奏したため、金とか赤とかいった暗闇に映える装飾が多かったのでは?ということ。ちなみにこの日も照明を蝋燭風にして、演奏してくれました。暗闇に浮かび上がるチェンバロは幻想的で、素敵でした。
  • チェンバロの鍵盤は2段になっていて、3種類の音が弾けるそうです。詳細な仕組みは忘れましたが、弦を同時にひっかく爪の数が多くなったり、フエルトのような生地をあてて音色を変えたりだったかな・・?ただし、ピアノ程大きくないため、あまり大きな音はでません。
  • ピアノ程大きな音がでない代わりに、力も手の大きさもあまり必要ないため、弾きやすいそうです。私もお試しチェンバロ(ロビーに自由に弾くよう、設置されてました)をちょっと弾いてみましたが、弦をはじくまでが、ややピアノより重いかな?と思ったけど、案外あっさり弾けて、何より小さいなと感じました。

リサイタルは1時間ちょっとでしたが、程よい長さといい、トークの楽しさといい、とても満足いく内容でした。全体に100人ぐらいしか入ってなかったので、ちょっともったいない感じがしましたが・・・